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「多子化する東京都」-少子化データを読む-大都会型子ども政策に、エリア少子化政策を重ねる危険性(1):研究員の眼
投稿日 2018年2月15日 16:42:00 (経済ニュース)
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【はじめに】
東京で子どもの中学校・高校の有名校への受験を考える親ならその名前を知らない人がいない大手進学塾の某塾長の言葉が胸に響いた。
「東京都の進学塾はかつてない活況を呈しています。新しく開設したクラスはすぐに満席。有名校への進学は激戦ですね。世の中では少子化なんていっていますけれども、東京は子どもが増えていますので。」
この言葉を聞いて「違和感がない」少子化の専門家や少子化事業に従事している方はさておき、驚いた方については、もしかすると「エリア別(地元)少子化対策」に対する根本的な考えの見直しが必要であるかもしれない。
そもそも少子化というのは「子どもの数が年々減っていくこと」を指す。
日本全体でみるならば、出生率長期低迷の結果として少子化社会が発生し、人口ピラミッドが逆三角形となり、死亡数が常に出生数を上回ることによって人口減少が生じていることについては、もはや異論はない状況である。
日本全体としては「低出生率=少子化」というのは間違いない。
しかし、少子化に関して出生率との関係を語るとき、生じやすい誤解の罠がある。
日本という国レベルで生じている、低出生率(出生率が極めて低い)からくる全体としての少子化(子どもの数が減っていくこと)を金太郎飴的に「それは全エリアで起こるもの」、と考えてしまう誤解の罠である。
実は、低出生率であっても少子化するとは限らないのである。
「極めて低い出生率からくる少子化(子どもの数の減少)」という、日本全体で見ると生じている「低出生率=子どもの数の減少(いわゆる少子化)」現象をひっくり返すエリアがある。
最初の進学塾の塾長の言葉にもどるが、エリア別に見るならば「東京都」という「人口モンスター特区」が存在している。このことを少子化対策を考える上では決して見逃してはならない。
【ヒトが増え続ける人口モンスター特区・東京都】
まずは東京都全体の人口を確認してみたい。
第2次世界大戦終戦の1945年から、絶えることなくその人口数を増やし続けている。1995年以降の国勢調査結果からは、さらに近年そのエリア人口増加度合いを加速化させてきていることがわかる。東京都に関してみれば、低出生率=人口減少、という数式が成り立ってはいない。
それだけでも東京都のエリア異常性が示されているのであるが、日本全体のデータと比較するとさらにその特殊性が際立ってくる。
日本全体では、1995年をピークに15歳から64歳の生産年齢人口が、そして2008年をピークに総人口が減少に転じている。しかし、東京都はまさにその年を境に「全く正反対の人口増加の動き」をみせているのである(図表1)。
経済学の世界では周知の事実、「ミクロの利益とマクロの利益は必ずしも一致しない」という世界が日本全体と東京都に関して、極めてわかりやすく当てはまる状況となっている。
日本全体が受けている打撃としての人口減少は、東京都では打撃と感じられないどころか、むしろ人口増加による過密化という正反対のデメリット感さえも生み出している。
【増えているのは大人だけではない】
東京都の人口が増えている、と聞くと、それは少なくとも18歳以降の高卒後・大卒後の東京都以外のエリアからの社会流入による大人の増加なのではないか、と感じるかも知れない。大学への進学や就職のために大都会にでていく姿はめずらしくない。
そうであるならば東京都は大人だけが増えているのであるから「東京都といえども少子化(子どもの数の減少)はしてはいる」だろう、東京都の少子化問題もその他のエリアにおける少子化問題に関して似たようものといえるだろう、と考えられる。
実際、待機児童問題「保育落ちた日本死ね」がSNSやメディアで大きく取り上げられ、炎上という形で短期間に一気に全国に拡散し、全国において「子育て支援といえば保育園」とばかりに問題共有されている。
しかし、全国を揺るがした待機児童問題がもっとも深刻なエリア、東京都のリアルな姿は「大人の増加による人口増加特区」という特殊性だけにはとどまらない(図表2)。
上の表から、東京都では他のエリアからの社会流入による大人人口の増加だけではなく、あまりの過密化によりその増加傾向はようやく鈍化しつつあるものの、長期にわたり15歳未満の子ども人口も増加し続けてきたことがみてとれる。
つまり東京都において、もし子ども政策に関して悩みがあるとすれば、その背景にはもう10年以上も「増え続ける子ども」という社会状況があったのである。
近年において人口モンスター特区には「少子化問題」がその背景にはなかったことは間違いない。
このことを理解していないと、東京で主に叫ばれる子ども政策があたかも「少子化対策」であるような誤解をしてしまうのである。
くどいようだが、東京都は人口減少問題が全体論としては叫ばれる日本において、いまだ増え続ける人口に向き合い続けている「人口モンスター特区」、つまりは特殊エリアである。
この異常ともいえる特殊エリアで論じられる「子ども関連政策」を睨んで、あたかもそれが自らのエリアの少子化対策でもあるかのように考えてしまうことは、「特殊ではない平均的なエリア」にとっては非常に危険であるといえる。
もし他の「少子化」エリアが、自らのエリアを多子化してきた東京型の政策に習って変えようとしても、それは低い効果で終わってしまう可能性が高い。
今までの日本の少子化政策が長期にわたり保育問題の解消といった偏った政策にとどまってきたのも、それが東京型子ども政策であって全国レベルで見た際の真の少子化政策ではないことに気がつかなかったからかもしれない。
東京だけを睨んだ、もしくは東京を模した子ども政策はなぜ危険なのか。
森林でいうならば、全体としての森が急速に縮小してゆく(再生産機能が落ちてゆく)中で、増殖を続ける特殊な植物(しかもその増加が全体の森の拡大には連動してこない)の増殖方法について観察し、森全体にその方法をそのまま応用しようとすることになりかねないからである。
なぜ東京が人口モンスター特区としてその特殊性をみせてきたのか、そのことについての考察は次に譲りたい。
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(2018年2月13日「研究員の眼」より転載)
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生活研究部 研究員
天野 馨南子
Source: BUSINESS-経済-
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