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「ペンタゴン・ペーパーズ」:ニクソンとトランプ、メディアを攻撃する大統領の二重写し
投稿日 2018年4月9日 16:47:00 (経済ニュース)
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ドナルド・トランプ大統領のワシントン・ポストへの敵視は、その勢いを増している。
攻撃の標的は、ポストのオーナーのジェフ・ベゾス氏、さらに同氏が創業したアマゾン・ドット・コムにまで及んでいる。
トランプ氏は、ポストをベゾス氏の「政治的武器」と見なしているようだ。
そんなホワイトハウス対ポストの攻防を目の当たりにしながら、日本でも上映が始まったスティーブン・スピルバーグ監督の映画『ペンタゴン・ペーパーズ』を見ると、現状がはっきりと二重写しになる。
スピルバーグ監督もインタビューで「現政権だからつくった」と述べている。
President Richard Nixon Points to a Map of Cambodia during a Vietnam War Press Conference
[White House Photo Office Collection (Nixon Administration), 1/20/1969 – 8/9/1974]
ジャーナリズム映画の金字塔といえばポストによるニクソン政権のウォーターゲート事件追及を描いたアラン・J・パクラ監督の『大統領の陰謀』(1976年)だ。この事件のちょうど1年前のポストを舞台にした『ペンタゴン・ペーパーズ』は、『大統領の陰謀』の40年後につくられた前日譚でもある。
●ベゾス氏を攻撃する
By Michael Vadon (CC BY 2.0)
President of the United States Donald J. Trump at CPAC 2017 February 24th 2017
トランプ氏がツイッターでベゾス氏とアマゾン、ワシントン・ポストに攻撃の矢を向けるのは、今に始まったことではない。
Is Fake News Washington Post being used as a lobbyist weapon against Congress to keep Politicians from looking into Amazon no-tax monopoly?
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年7月25日
https://platform.twitter.com/widgets.js
ポストは、同紙のデイビッド・ファレンソルド記者が、米大統領選中のトランプ氏の慈善活動についての検証報道で2017年のピュリツアー賞を受賞するなど、権力監視の姿勢が鮮明だ。
これに対してトランプ氏は、特に今年3月末から、アマゾンに焦点を絞った攻撃の手を強めている。
皮切りとなったのは3月29日のこんなツイートだ。
I have stated my concerns with Amazon long before the Election. Unlike others, they pay little or no taxes to state & local governments, use our Postal System as their Delivery Boy (causing tremendous loss to the U.S.), and are putting many thousands of retailers out of business!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年3月29日
https://platform.twitter.com/widgets.js
大統領選のはるか前からアマゾンへの懸念は表明していた。他社と違って、アマゾンは連邦政府や地方政府にほとんど税金を払わない。郵政公社を配達少年として使い(それによって米国に多大な損害をもたらしている)、そして数千もの小売業者を廃業に追いやっているのだ。
その後も、「フェイクニュースのワシントン・ポスト、アマゾンの”チーフ・ロビイスト”がまたウソ見出しだ」などと、連日のようにアマゾン、そしてポスト批判が続く。
The Fake News Washington Post, Amazon’s “chief lobbyist,” has another (of many) phony headlines, “Trump Defiant As China Adds Trade Penalties.” WRONG! Should read, “Trump Defiant as U.S. Adds Trade Penalties, Will End Barriers And Massive I.P. Theft.” Typically bad reporting!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年4月5日
https://platform.twitter.com/widgets.js
フェイスブックのデータ流用問題に端を発したIT株下落の影響もあり、アマゾン株は一時、5%急落(2日)する事態にもなった。
なぜここに来て、トランプ氏はアマゾン批判を強めているのか。
ウォールストリート・ジャーナルは、ポストが3月末、ホワイトハウスの混乱ぶりを報じた2本の記事が、トランプ氏の琴線に触れたようだ、と報じている。
ポストの報道への意趣返しとして、オーナー、ベゾス氏の会社、アマゾンを攻撃している、との見立てだ。
●スピルバーグ監督の狙い
この映画を製作しなきゃいけない、その緊急度が高いと思った。報道機関に攻撃を浴びせ、都合のいいように真実にフェイクとレッテルを張る。そんな政権の現状こそが動機だ。
“オルタナティブ・ファクト”というハッシュタグが本当に不快だった。私はたった一つの真実のみを信じる人間だ。それは客観的な真実だ。
スピルバーグ氏は、英ガーディアンのインタビューにそう答えている。
「ペンタゴン・ペーパーズ」の製作が公表されたのは、トランプ大統領の就任式から45日後の3月6日。
スピルバーグ氏が制作に合意したのは、そのわずか3日前で、その直後、初共演となるトム・ハンクス、メリル・ストリープの両氏も出演を承諾したという。
そして、日本では今月20日に公開される『レディ・プレイヤー1』のポストプロダクションと並行し、すでに後ろには次の監督作『The Kidnapping of Edgardo Mortara』のイタリアでの撮影を控えるという多忙なスケジュールの中で、9ケ月後のクリスマスシーズン、2017年12月22日には、米国での劇場公開にこぎつけている。
スピルバーグ氏の制作意図は明確だ。ハリウッド・レポーターのインタビューにも、こう答えている。
この脚本を読んだ時には、自分で監督するつもりも、製作に関わるつもりもなかった。『レディ・プレイヤー1』の制作途中だったし、そんなことは正気の沙汰ではない。でも、そのテーマにとても惹かれた。ベン・ブラッドレーは数年にわたってイースト・ハンプトン(ニューヨーク)のご近所だった。彼と妻のサリー(・クイン)、それにノーラ・エフロン(※)と(夫のプロデューサー)ニック・ピレジーと一緒に、パーティーをしたりもしていた。リズ(・ハンナ)の脚本を読み終えた時、これは1971年以上に、2017年の今こそ重要なテーマだと思えた。現在起きていることと、ニクソン政権が敵と公言するニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストとの間で起きたことは、信じられないぐらい似ている。この映画をつくるなら今年だ、と理解したんだ。
(※『ペンタゴン・ペーパーズ』は、トム・ハンクス氏が出演した『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』の脚本家・監督の故ノーラ・エフロン氏に捧げられている。エフロン氏は、ウォーターゲート事件を報じたポストの記者、カール・バーンスタイン氏と結婚していた時期がある)
スピルバーグ氏は、まさに、今の「トランプ政権対ポスト」をテーマに、この映画を撮ったと述べている。
●『ペンタゴン・ペーパーズ』と『大統領の陰謀』
『ペンタゴン・ペーパーズ』のストーリーは、1971年6月13日、ニューヨーク・タイムズが米国による30年4政権にわたるインドシナ問題(ベトナム戦争)への介入の経過を調査した47巻7000ページの秘密報告書を特報したことをきっかけに進んでいく。
このスクープを、株式公開したばかりの2番手紙、ワシントン・ポストが追いかけ、当時のニクソン政権ともせめぎ合う姿を、夫の死去によって社主となったキャサリン・グラハムと、グラハムがニューズウィークから呼び寄せた編集主幹のベン・ブラッドレーを軸に、半月ほどの時間軸で描く。
ニクソン政権は、タイムズに対して,記事の差し止め訴訟を起こしたが、ポストも後を追って記事を掲載。その最高裁判決が、映画の最後の見せ場になる。
このペンタゴン・ペーパーズ報道における対権力の姿勢が、ポストのその後につながる。
そして、ニクソン政権もまた、ペンタゴン・ペーパーズ報道をきっかけに、その後につながる動きを見せる。
ホワイトハウスは最高裁判決の翌月、情報漏洩対策のための「鉛管工」と呼ばれる特別工作チームをつくる。
「鉛管工」チームは同年9月、精神科医のオフィスに侵入。秘密報告書の告発を行ったダニエル・エルズバーグ氏のカルテの入手を図る。
さらに翌72年6月17日未明、ワシントンのウォーターゲートビル6階にあった民主党全国委員会に盗聴器をしかけるために「鉛管工」チーム5人が侵入。警備員に通報され、逮捕される。
ウォーターゲート事件となる、この侵入事件を取材していくのが、入社9カ月の記者、ボブ・ウッドワード氏と、入社7年目のカール・バーンスタイン氏だった。
英タイムズのインタビューによれば、『ペンタゴン・ペ-パーズ』をつくる上で、スピルバーグ氏の念頭には、やはりポストの編集局を舞台にウォーターゲート事件を描き、ニクソン大統領辞任2年後の1976年に公開されたアラン・J・パクラ監督の映画『大統領の陰謀』(出演/ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン)があったようだ。
(『大統領の陰謀』は)私のお気に入りの政治映画の一つだ。『ペンタゴン・ペ-パーズ』がきっかけになって、皆さんが『大統領の陰謀』を見てくれるようになればうれしいんだが。
『ペンタゴン・ペーパーズ』には、スピルバーグ氏の言葉通り、『大統領の陰謀』のシーンをそっくりそのままトレースしたような場面が出てくる。
●40年後の登場人物たち
『ペンタゴン・ペーパーズ』には、40年後の現在につながる、様々な登場人物たちも描かれている。
冒頭のシーンに少しだけ登場するのがベトナム戦争から無事帰還した当時26歳の息子、ドナルド氏だ。
ポストの株式公開を控え、その理由を問いかけるドナルド氏に、キャサリン・グラハムは「ポストの権限を手放さないため」と答える。
ドナルド氏自身はこの年にポストに入社。
そして42年後の2013年8月、同紙をベゾス氏に2億5000万ドルのキャッシュで売却し、グラハム家が「ポストの権限」を手放した時の会長兼CEOだ。
キャサリン・グラハムの娘としていくつかの場面に登場する当時27歳のラリー・ウェイマス氏は、現在もポストのシニアアソシエイトエディターを務めている。
ニューヨーク・タイムズにスクープを抜かれた後、グラハム家を訪れたビル・ブラッドレーが、転がってきたビニールボールを握りしめてしまい、それを返して欲しそうにたたずむ少女が出てくる。
それがキャサリン・グラハムの孫で、ラリー・ウェイマス氏の娘のキャサリン・ウェイマス氏。ポスト売却時の同紙発行人だ。
そんな、今のポストにつながるいくつもの補助線が、映像の中に盛り込まれている。
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■新刊『信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体』(朝日新書)
(2018年4月7日「新聞紙学的」より転載)
Source: BUSINESS-経済-
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