岩手県内で、新型コロナウイルスの感染拡大がとまらない。１２日には新たに４３人の感染が発表され、過去最多だった前日の２２人から倍増した。このうち４１人がクラスター（感染集団）が発生した雫石町の鶯宿おうしゅく温泉病院の入院患者と職員の家族らで、同病院のクラスターは６３人まで広がった。県は国のクラスター対策班の派遣を要請した。

県と盛岡市保健所によると、同病院の入院患者はいずれも重症ではないが、持病のため酸素吸入している患者が複数いる。内訳は、９０代１０人、８０代１７人、７０代７人、６０代３人、５０代１人。

県が患者など約３３０人にＰＣＲ検査を実施したところ、感染者の病室は特定のエリアに集中していた。隣接する介護老人保健施設の利用者と職員からは、ウイルスは検出されなかった。県は「潜伏期間の可能性があり、後で感染が確認されることもあり得る。健康観察の上、一定期間ごとに検査の実施が必要だと考えている」としている。今後、残る２５人の検査を行う。

また、この病院の職員の家族ら３人の感染も確認された。うち１人は保育士で、勤務先の園児ら約１２０人の検査も実施する。県は１１日に引き続き、「いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォース」のメンバーを派遣し、危険区域を分けるゾーニングや、応援医師の調整などにあたっている。

同病院では既に職員２２人が感染したほか、濃厚接触者となった職員もいる。このため、系列の医療機関などからも応援を得て、他の入院患者の対応や病院運営にあたる。

野原勝・県保健福祉部長は「高齢の患者が多い。重症化防止のため適切な医療提供の支援に努める」と話した。

同病院以外に感染が判明したのは、県立中央病院の看護師と、入院中の女性患者（４０代、県内在住）の２人。女性患者は、１１日に感染が発表された男性患者の隣の病室だった。４回目の検査でウイルスが検出された。

読売新聞 
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201213-OYT1T50084/